かんばんボードとは、付箋やホワイトボードを進化させたもので、タスクの割り当てや期日、その他の関連情報をチームが一目でわかる場所にまとめ、常に最新の情報を共有できる、視覚的な整理システムです。
ソフトウェア開発からマーケティングに至るまで、どの分野においても要素を視覚化できる仕組みは成功に欠かせません。プロジェクト管理を考えるうえでも、戦略の一環としてかんばんボードを使用するメリットは大いにあります。
この記事では、かんばんプロジェクト管理とは何か、その仕組みとメリット、そして monday.com を使ったプロジェクトにおける活用法についてご紹介します。
かんばんボードとは
かんばんボードは、個々のタスクとそのステージを示すカードやカラムからなるプロジェクト管理ツールです。
例えば、ステージはタスクのステータスを指し、「進行中」「レビュー待ち」「完了」「停止」といったタイトルが付けられます。カードはそれぞれのチームメンバーに割り当てられ、そのメンバー(担当者)は各ステージのタスクを完了させて、プロジェクトが完了するまでカードのステータスを変更(カラムからカラムへと移動)していきます。
このツールはアジャイル / スクラムプロジェクト管理フレームワークの一部でもあり、アジャイル方式で仕事をするチームがワークフローを視覚化し、効率を最大化するためにも活用されています。
デビッド・アンダーソンによるかんばんボードの5つの構成要素
かんばん方式は、1940年代にトヨタの製造工程の最適化に役立てるために開発されて以来、大きく進化してきました。これには、かんばん方式をソフトウェアとサービス業界に適用した先駆者であるデビッド・アンダーソンが大きな役割を果たしています。
彼の功績は、今日よく使われているかんばんボードに不可欠な5つの役割を特定したこと。以下で概要をご紹介します。
- 視覚的なシグナル:かんばんボードはワークフローと各作業アイテムのステータスを明確に視覚化するため、進捗状況をすばやく把握し、潜在的なボトルネックを特定することができます。
- カラム:かんばんボードの特徴の1つは「カラム」の存在にあります。カラムは、より大きなワークフローを構成する個々のタスクやアクティビティを示すブロックのことです。
- 進行中の作業(WIP)の限度:常に進行中の作業アイテム数を制限することで、チームに過度の負担をかけず、スムーズで予測可能な作業の流れを確保することができます。
- コミットメントポイント:かんばんチームでは通常、顧客やチームメンバーから提案されたプロジェクトのアイデアの保管場所として、ボード用のバックログを管理します。チームは作業の準備ができたら、バックログからアイデアを選択することができます。コミットメントポイントは、チームがバックログからアイデアを選択して、プロジェクトに取り掛かることを決定する段階のことです。
- デリバリーポイント:デリバリーポイントはかんばんチームのワークフローの最終点で、通常は製品やサービスが顧客に納品される時点を指します。チームの主な目的は、作業アイテムをコミットメントポイントからデリバリーポイントにできるだけ早く移動させることであり、この2つのポイント間の経過時間をリードタイムと呼びます。チームで一貫してプロセスを改善し、リードタイムを最小化するよう努める必要があります。
かんばんボードの主な要素
かんばんボードはアナログでもデジタルでも構築することができます。付箋を貼って物理的に作ったり、プロジェクト管理ソフトウェアの機能を使ってデジタルボードを作成するなど、同じ仕組みをあらゆる形で再現できるのが特徴です。かんばんボードの主な構成要素は次の通りです。
- カラム:「進行中」「レビュー待ち」「完了」といったチームのワークフローのさまざまなステージを示し、ボード上のカラムとして視覚化されます。
- カード:タスクやプロジェクトなど、ボード上のワークフローのステージを移動する個々の作業です。
- 進行中の作業(WIP)の限度:各ワークフローステージにある作業アイテムの最大数です。
- スイムレーン:チームや部門ごとなど、さまざまなアクティビティを分離、分類するためにボードを水平に分割したものです。
- タグ:カードタグ、またはラベルとも呼ばれ、以下のようなことに役立ちます。
- カードの分類、整理、フィルタリング
- コンテキストの追加
- 重要なタスクの強調
- 特定の目的を達成するために重要なタスクの可視化
かんばんプロジェクト管理とは
かんばんプロジェクト管理は、プロジェクトのワークフローを可視化し、かんばんボード上で実行可能なパーツに分解する方法論です。かんばんチームのメンバーはそれぞれタスクを割り当てられ、自分の仕事だけに集中します。
かんばんプロジェクト管理の基本理念
かんばんプロジェクト管理における重要な4つの要素は次の通りです。
導入が簡単
かんばんは柔軟性が高いため、既存のワークフローを乱すことなく導入することができます。
段階的な変化
かんばんの哲学は、懸念や反対意見を生むような急激な変化ではなく、ワークフローを改革できる段階的な変化を行うことに基づいています。
現行のプロセスと役割の尊重
かんばん方式は、既存のプロセスや役割を完全に破壊するものではありません。プロジェクトチームが必要な変更を決定し、導入することを可能にします。
全社的なリーダーシップの推進
かんばんの「進化へ向けての小さな変化」という哲学は、チームメンバー全員の継続的な向上への意欲と最適な仕事の達成を高めます。
かんばんツールを使う / 使わないタイミング
いくら便利なツールでも、導入に適したケースとそうでないケースがあります。かんばんボードもしかりで、今行っているプロジェクト管理でかんばんを使うのが最適かどうかをまずは見極めましょう。これは、チームの規模や希望、組織や仕事、プロジェクトの詳細によって異なります。
以下の質問も参考にしながら、かんばんツールが自社のプロジェクト管理に適しているか否かを判断してみましょう。
チームにはどの程度の構造が必要なのか?
かんばんの利点の1つはその柔軟性です。スクラムのようにスプリント中に変更ができない可能性があるフレームワークとは異なり、プロジェクト全体を通して継続的な変更が可能です。
かんばん方式は、タスクがフェーズを何度も行き来しない、反復性のないプロジェクトに適しています。アプリの機能開発のように、何度も設計段階に戻るような反復的なプロジェクトは、かんばんフレームワークには向いていません。かんばんフレームワークは多くの業界や分野で使用されていますが、マーケティング、イベント、出版など、継続的なワークフローを持つ組織には特に効果的です。
タスクの依存関係は多い?
かんばんが最も効果的に機能するのは、各タスクが同じチーム内で、比較的多くの依存関係なしに完了できる場合です。そのため、複数のタスクやステージ、オーナーが必要な複雑なプロジェクトには向いていません。また、ほとんどのタスクが共有リソースを必要とするプロジェクトでもあまり効果的ではない可能性があります。
プロジェクト管理におけるかんばんボードの3つのメリット
かんばんボードメソッドには、次の3つのメリットがあります。
フォーカスを高める
かんばんボードで作業を可視化することで、チームメンバープロジェクトにおける自分の責任や利害関係を理解しやすくなります。余計な要素を排除することで、他の仕事は同僚が担当していることを把握し、自分の仕事に完全に集中できます。
コミュニケーションを向上させる
調査によると、ほとんどの企業がコミュニケーションに苦労しており、32%の人が過去12か月で顧客や同僚とのコミュニケーションがより困難になっていると考えています。オンラインのかんばんボードを活用すれば、チームメンバーがプロジェクトのニーズをより深く理解し、より良い形でコミュニケーションをとりながら仕事を進められるようになります。また、カードにコメントを追加する機能も便利です。
効果的な優先順位付けを可能にする
パレートの原理では「すべての結果の80%は20%のケースから得られる」とされ、効果的な仕事をする上で優先順位をつけることの重要性が示されています。かんばんプロジェクト管理で優先順位付けを可能にすることで、本当に重要なタスクに時間を費やすことができます。
monday.com でかんばんボードをプロジェクト管理に活用する方法
monday.com ボードを作成する
monday.com でかんばんボードシステムを使用するには、まずアカウントにボードを作成する必要があります。新しいボードを追加するには、画面左のペインにある [+追加] ボタンをクリックして、[新規ボード] を選択します。
同じメニューから、Excel、Google Sheets、Trello などから新しいボードをインポートしたり、あらかじめ用意されたテンプレートから選択したりすることができます。
かんばんビューを追加する
かんばんビューをボードに追加するには、ボードの上部にある+オプションをクリックして(カーソルを合わせると [ビューを追加] と表示されます)、[かんばん] を選択します。
また、画面右上の [ボード強化] をクリックして、新しいボードビューを追加することもできます。[ボードビュー] を選択し、[ビューセンター] から [かんばん] を選択します。
かんばんビューを設定する
ビューの右上にある歯車のアイコンをクリックして、[設定] メニューを開きます。
次の3つのステップに従い、かんばんビューを設定します。
- かんばんカラム:[設定] の [かんばんカラム] セクションから、自分のかんばんビューで表示したいステータスカラムを選択します。
- カバーカラム:かんばんカードのカバーとして表示するファイルカラムを1つ以上選択します。
- カードカラム:かんばんカードに直接表示したいカラム情報をボードから選択し、情報を一目で確認できるようにします。
- グループ分け:[設定] メニューの一番下にある [グループ分け] ボックスをクリックすると、かんばんカードをボード上のグループに分けて表示することができます。
かんばんボードの設定が完了したら、さっそくカードを追加・編集・移動してみましょう。
ワークフローでカードを移動する
かんばんボードを作成したら、タスクを完了させることにフォーカスします。
タスクのフェーズが完了したら、カードはかんばんワークフローの次のカラムに移動します。例えば、次のような流れを考えてみましょう。
- ライターは原稿を完成したら、カードをレビューのカラムに移動します。
- 編集者がそこから作業を引き継ぎます。
- 変更が必要な場合は、タスクを前のカラムに戻します。
- その際にマネージャーや上司はコメント欄を活用し、必要な変更についてコメントを残すことができます。
かんばんボードでは、問題のあるエリアのカードが積み重なる傾向があるため、カードの状況を確認することでワークフロー上の問題をすばやく特定することができます。
分析を行う
カードのワークフローの通過にかかる平均時間を追跡し、特定の時間枠で終了したタスクの数を確認することができます。
monday.com では、動的なテンプレートを使用することでより包括的な測定が可能となります。
かんばんボードツールで注目すべき機能
かんばんボードツールを導入する際は、どのような機能があるのかを調べ、チームに合ったものを選びましょう。このセクションでは、検討する価値のある主要な機能と、monday.com の特徴をご紹介します。
直感的で使いやすいインターフェース
プロジェクトの進行に予測不能な事態はつきものです。その対処に時間を取られるため、導入しているツール自体が複雑だと操作の負担が増えてしまいます。
monday work management は多彩な機能で、チームのニーズや希望に適したかんばんツールの作成をサポートします。
- シンプルなドラッグ&ドロップ機能
- オンボーディングが簡単
- 誰でも簡単にはじめられる視覚的なデザイン
視覚的な柔軟性
かんばんは極めて視覚的なワークフローであるため、自分の好きなようにデータを表示することができます。各プロジェクトの全体像を把握し、今のステータスを一目で見ることができるため、チーム全体の進捗状況やメンバーの仕事量、誰が何に取り組んでいるかなどを把握したいときにはぴったりです。
monday.com Work OS は高い柔軟性が特徴の業務管理ツールで、すべてのチームメンバーがプロジェクトの成長に合わせて変更や拡張を行うことができます。かんばんのカラムは、ドラッグ&ドロップするだけで簡単に並べ替えが可能。カラム内またはカラムをまたいで移動させることで、特定のアイテムの順序を変更することもできます。
カスタマイズ対応
プロジェクトの要件やチームの規模が変更された場合に備え、チームのニーズや希望に合わせてボードやかんばんオプションを簡単にカスタマイズできるソフトウェアを選びましょう。monday.com では、ボードを自由にカスタマイズできます。
- カードやカラム、ステータスを色分けする
- サブアイテムを追加し、アイテムのアクションアイテムをより具体的なステップに分割する
- ファイル共有機能で、特定の画像をボードに表示する
コミュニケーションの一元管理
プロジェクトにかかわるすべての要素は、できれば1か所(ひとつのプロジェクト管理ソフト)で管理したいものです。
monday.com なら、コメントの追加やファイルのシェア、アップデートの送信を簡単に行うことができます。同じプラットフォームでチームメンバーと仕事ができるため、ミーティングやメールのやり取りに費やす時間を節約できます。
自宅でもオフィスでも、もちろん外出先からでも、文書や画像のアップロード、フィードバックやアップデートの共有、チームとコミュニケーションが可能です。
自動化
繰り返しの作業にかかる時間や手間を省くには、ワークフローの特定の要素を自動化できるソフトウェアを選ぶとよいでしょう。例えば、締め切りの前にリマインダーをチームに送るよう事前に設定しておくことができます。また、タスクのステータスが更新されたときに通知を送ることもできます。
monday.com では通知設定も簡単に行えます。自動化レシピは無制限に用意されており、ルーチンタスクを処理できるため、重要な仕事に集中することができます。
統合
コミュニケーション、ファイル共有、メール、カレンダー、生産性アプリなど、すでにチームで使用しているツールと統合されているかんばんボードソフトウェアを選びましょう。ツールやアプリ間でのデータの移動は、シームレスであるのが理想です。
monday.com は、部門を超えて利用できる72以上の統合を提供しています。
- すべてのデータを1つのスペースで更新
- すべてのユーザーが同じデータにアクセス可能
- ツール間でプロジェクト情報をすばやくインポート / エクスポート
- 複数ツールの切り替え不要、一か所で業務を管理
よくあるご質問
かんばんは、プロジェクトの大小に関わらず使えますか?
かんばんは、プロジェクトの規模を問わず使用できる汎用性の高いプロジェクト管理方式です。高い柔軟性により、かんばんフレームワークはチーム特定のニーズやプロジェクトの大きさに適応し、あらゆる状況において拡張性と効果を発揮します。
かんばんは、リモートチームや分散チームに適していますか?
かんばんは、リモートチームにも分散型のチームにも適しています。データの視覚化、透明性、共同作業に特化しているため、たとえリモートワークであっても、各メンバーが仕事の進捗状況を常に把握し、簡単に最新情報を得ることができます。オンラインでかんばんツールやデジタルボードを作成・共有すれば、リモートチーム環境におけるかんばんプロジェクト管理の効果をさらに高めることができます。
チームの進捗状況を追跡する際、かんばんボードには何が表示されますか?
かんばんボードの最も強力な要素の1つは、各チームメンバーの仕事量を表示できることです。この指標をもとに各メンバーの作業状況を確認し、チーム全体の進捗を俯瞰することができます。
monday.com でチームに適したかんばんボードプロジェクト管理を実現
かんばんプロジェクト管理を活用すれば、プロジェクトを迅速かつ効率的に進められます。複雑なプロジェクトもわかりやすく細分化し、チーム全体で情報の透明性を高めることができます。
monday.com のかんばんテンプレートを使用してボードを作成し、チームのタスクと進捗をシンプルに、すばやく把握しましょう。