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プロジェクト管理

インシデント管理とは?目的や重要性、課題について解説

monday.com ブログ編集部 14 分 で読めます
Especificação técnica

インシデント対応において、「原因がわからないまま場当たり的に対処してしまった」「同じようなトラブルが繰り返し発生している」といった経験はありませんか。

企業活動が複雑になるほど、トラブル対応の遅れや問題の再発は大きな損失や信頼低下に繋がります。

そこで重要になるのがインシデント管理です。インシデント管理は、発生した問題を体系的な記録・分析・対応を可能にする仕組みであり、迅速な復旧や再発防止を実現するために欠かせません。

本記事では、インシデント管理の目的や重要性、導入に伴う課題までをわかりやすく解説していきます。

 

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インシデントとは?

インシデントとは、ITサービスや業務に支障をきたす、予期せぬ出来事を指します。システムの停止や遅延、ネットワークの不具合、ユーザーの操作ミスによる障害など、サービス提供の品質や継続性に影響を与える事柄も含まれます。

ITIL(IT サービスマネジメントのフレームワーク)では、インシデントを「サービスの中断、もしくは品質低下の原因となる、または引き起こす可能性のある出来事」と定義しています。

インシデント管理とは?

インシデント管理とは、システム障害やセキュリティインシデントなど、業務に支障をきたす予期せぬトラブルの発生時に、迅速かつ効果的に対応し、影響を最小限に抑えるためのプロセスです。

特にITサービスマネジメントの分野では、インシデントをいち早く検知し、その対応・解決にあたり、サービスを正常な状態に戻すことが求められます。企業や組織の安定した運営のためには、インシデント管理の仕組みを整えておくことが不可欠です。

インシデント管理の主な目的

インシデント管理の主な目的は、ITサービスの中断や障害が発生した際に、迅速かつ的確に対応して、サービスをできるだけ早く通常の状態へ回復させることです。

インシデントを完全に防ぐことは難しいですが、発生後の対応スピードと的確さが、組織の信頼性や生産性を大きく左右します。

また、インシデントを記録・分類・分析することで、将来的な再発防止や改善対策にも役立てることができます。インシデント管理は単なる問題対処ではなく、サービス全体の品質向上にも貢献する重要なプロセスです。

インシデント管理はビジネスにとってなぜ重要?

インシデント管理は、なぜ企業に重要視されているのでしょうか。ここでは、その理由を詳しく見ていきましょう。

システム停止時間や業務中断を最小限にできる

インシデント発生時に迅速な対応ができる体制が整っていれば、障害やトラブルによる業務の停止時間を短縮することができます。迅速な対応は、売上損失や顧客対応の遅延など、直接的な経営リスクの低減にも繋がります。

インシデントの早期検知・記録・分類・エスカレーションのフローを明確にすることで、復旧までにかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。

顧客の信頼と安心感を高められる

トラブル時に迅速かつ透明性のある対応をすることで、顧客に対して「信頼できる企業」の印象を与えることができます。逆に、対応が遅れたり曖昧だったりすると、不満や不信感が蓄積し、顧客離れの要因となることもあります。

インシデント対応のプロセスを明確に定義し、常に一貫した対応を行うことが、顧客との信頼関係を維持するためには欠かせません。

SLAの観点からも重要

多くの企業では、SLA(サービスレベルアグリーメント)に基づいて顧客と契約を交わしています。SLAとは、サービス提供者と利用者の間で取り交わされる「サービスの品質や対応範囲、目標値」などを明文化した合意書です。

インシデント管理が不十分だと、SLA違反となり、契約上のペナルティ発生や信用低下のリスクがあります。

そのため、インシデント発生時の迅速な対応と的確な復旧プロセスが不可欠です。インシデント管理体制が整っていれば、結果として、契約で定めた一定水準のサービスを安定して提供できます。

トラブルに強く、臨機応変な組織を作れる

インシデント管理を通じて、組織全体が「トラブル発生時にどう動くか」の共通認識を持てるようになります。共通認識を持てると、属人的な対応ではなく、チームとして一貫性のある行動が取れるようになります。
その結果として、変化の多い現代のビジネス環境においても、迅速で安定した対応が可能な組織体制を築くことができます。

さまざまな状況におけるインシデント管理

インシデント管理は、単にIT部門の障害対応をサポートするだけの仕組みではなく、さまざまな状況で異なる目的や方法で活用されています。

組織の運営体制や目的によって、重視される視点や対応のプロセスが異なるため、それぞれの状況におけるインシデント管理の特徴を理解することが重要です。

ここでは、代表的な3つの分野におけるインシデント管理の考え方を紹介します。

ITサービス管理におけるインシデント管理

ITサービスにおけるインシデント管理とは、システム障害や予期せぬトラブルが発生したときに、迅速に復旧させて業務やサービスへの影響を最小限に抑える仕組みのことです。

例えば、サーバーがダウンして利用者がログインできなくなった場合には、インシデント管理の手順にしたがって原因を特定し、サービスを再開させます。これにより「いつ復旧するのかわからない」といった利用者の不安を減らし、業務の継続性を保つことができます。

サイバーセキュリティにおけるインシデント管理

サイバーセキュリティ分野でのインシデント管理は、情報資産の保護を主な目的としています。サイバー攻撃、情報漏洩、不正アクセスといった脅威に迅速に対応し、被害の拡大を防ぐことが求められます。

対応スピードと正確さ、証拠保全、法的対応が特に重視されるため、通常のITインシデント管理よりも高度なスキルと判断力が求められます。

DevOpsにおけるインシデント管理

DevOps(デブオプス)は、Development(開発)とOperations(運用)を組み合わせた考え方で、開発チームと運用チームが一体となってソフトウェアを素早く、かつ安定して提供することを目的としています。

このDevOpsの環境におけるインシデント管理は、単に障害を復旧させるだけではありません。トラブルを迅速に解決しながら、その経験を学びとして共有し、次のサービス改善に繋げることが重要視されます。

つまり、DevOpsのインシデント管理は「問題を止める仕組み」であると同時に、「サービスを成長させるきっかけ」にもなるのです。

インシデント管理の課題

インシデント管理は、実際の運用現場では多くの課題を抱えているのが現状です。ここでは、現場でよく見られる代表的なインシデント管理を解説します。

インシデントの件数が多すぎる

インシデントが日々大量に発生すると、対応チームのリソースが圧迫され、重要度の高いインシデントへの対応が遅れがちになります。すべてに手を付けようとして、かえって対応の質が低下することもあるでしょう。

この課題の解決方法は、インシデントを優先度ごとに整理し、最重要のものから対応できる仕組みを整えることです。。軽微なものは自動対応に回す、あるいはまとめて処理するなど、効率化の工夫が必要です。

警戒態勢が続くことで担当者が疲弊する

監視ツールによるアラート通知が多すぎると、担当者は常に緊張状態に置かれ、結果的に注意力が低下して本当に重要なアラートを見落としてしまいます。そのため、重要度に応じたアラートのフィルタリングや、自動的な振り分けルールの導入が必要です。

インシデントの分類が十分でない

発生したインシデントを正しく分類できていないと、原因分析や再発防止策の策定が困難になります。また、対応履歴がナレッジとして活かされず、同じミスが繰り返されることになります。分類基準やタグ付けのルールを明確にし、継続的に見直すことが必要です。

部門間コミュニケーションの分断

IT部門、開発部門、運用部門などの間で情報共有がうまくいかないと、インシデント対応に遅れが出やすくなります。この「サイロ化」と呼ばれる状態は、全体の最適化よりも自部門だけの効率を優先してしまうことで起こります。

この解決には、管理ツールの導入会議のスケジューリング体制の整備以外にも、部門をまたいだチームの配置や、全員で共有できる共通KPIの設定などが効果的です。

プロセスが統一されていない

対応フローがチームや担当者ごとにバラバラだと、対応の質に差が出たり、処理が遅れたりする原因になります。特に複数人で対応するインシデントでは、手順の違いが大きな問題になりかねません。そのため、標準化された手順書(プレイブック)やテンプレートを整備しておくことが重要です。

経験豊富な人材が不足している

インシデント対応には、単なる技術力だけでなく、状況を見極める判断力や実際の経験が必要です。特に複雑なシステム障害やセキュリティ問題では、経験豊富な人材が足りないことが大きなリスクになります。

その結果、トラブル時に正しい判断ができない、若手が成長できない、外部の専門家に頼りすぎる、といった問題が生じます。

KPIの設定が適切でない

インシデント管理において、KPI(インシデント件数や平均対応時間の目標)が現場の実態に合っていないと、課題を正しく把握できません。

その結果、意味のない数値目標に縛られたり、対応スピードばかりを優先して質が下がったり、改善策が形だけに終わってしまうといった問題が起こります。この課題を解決するには、現場の声を反映したKPIを設定し、定期的に見直すことがカギになります。

インシデント管理の課題を解決するにはツールの導入が効果的

多くの企業が抱えるインシデント管理の課題は、手作業や属人的な対応に頼りすぎていることが原因の一つです。対応の属人化、情報共有の遅れ、対応漏れ、記録の不備など、現場で起こる問題はツールの導入によって大幅に改善できます。

適切なインシデント管理ツールを活用することで、対応の迅速化・標準化だけでなく、全体の可視化やナレッジの蓄積にも繋がります。

インシデント管理ツールに必要な機能

インシデント管理ツールには、単に障害を記録するだけでなく、迅速かつ正確な対応を可能にするための多機能性が求められます。効果的なツール選定のためには、現場の課題に即した機能が備わっているかを確認することが重要です。

 

インシデント管理ツールの主な必須機能は、以下の通りです。

  • インシデントの登録・分類機能
  • 通知・アラート機能
  • ワークフロー管理・エスカレーション機能
  • ダッシュボード・レポート機能
  • ナレッジ管理機能
  • 外部ツールとの連携機能(API対応)
  • ポストモーテム(事後分析)機能

上記の機能を備えたインシデント管理ツールを導入することで、トラブルの早期発見から解決、そして再発防止までを一貫して管理できます。

「monday.com(マンデードットコム)」でインシデント管理を効率的に支援

上記のような機能を網羅したツールを導入することで、インシデント管理の効率と品質を大幅に改善することができます。

monday.com(マンデードットコム)」は、これらの機能を柔軟に活用できるプラットフォームとして、多くの企業で採用されています。ここからは、monday.comがどのように組織のインシデント対応を支えているのかを紹介します。

エスカレーション機能でインシデントをいち早く解決

エスカレーションとは、インシデントが一定時間内に解決されなかったり、重大度が高いと判断された場合に、より上位の担当者や専門チームへ対応を引き継ぐ仕組みのことです。

monday.comでは、このエスカレーションの流れを自動化できます。例えば、24時間以内に対応されなかったチケットを上位マネージャーに通知したり、重大度の高い障害を即座に専門チームへ振ったりすることが可能です。

そのため、インシデントが放置されたり、優先順位が曖昧になったりするリスクを減らし、システムやサービスの復旧スピードをアップさせます。

インシデント発生後のレポート作成も簡単

インシデント対応が完了した後は、対応履歴・所要時間・関与したメンバー・原因分類・影響範囲などのデータをもとに、レポートやダッシュボードを自動生成できます。

また、作成されたレポートは、経営層や関連部門への共有にも活用でき、透明性の高い報告体制を構築することができます。KPIに基づく定量的な評価も容易になるため、継続的な運用改善にも繋がるでしょう。

アラート機能でSLAを常に遵守

monday.comには、インシデントの進捗状況や対応期限に応じて、自動で関係者に通知を送るアラート機能が備わっています。例えば、「重大インシデントが3時間以上未対応の場合、リーダーに即時通知」といったルールを設定することで、SLA違反のリスクを低減できます。

アラートはメール、Slack、Teamsなどさまざまなチャネルと連携でき、即座に対応を促す仕組みを構築することが可能です。

チケット機能でより迅速な対応を実現

monday.comの「チケット」機能は、インシデントや障害を「案件」として記録し、対応の進捗を管理するための仕組みです。AIによる自動解析機能も備わっており、内容に応じて最適なチームや担当者にチケットを振り分けることが可能です。

例えば、障害報告の文章からキーワードや緊急度を抽出し、ネットワーク担当やアプリ担当に自動で割り当てるなどの処理を行います。これにより、初期対応の遅れや担当者の判断ミスを防ぎ、対応スピードと正確性を大幅にアップさせることができます。

特に、インシデント件数が多い組織では、自動ルーティング機能によって現場の負荷が大きく軽減されるでしょう。

monday.comでインシデント管理を確実に強化

インシデント管理は、サービスの安定した運用と顧客からの信頼維持に欠かせない取り組みです。しかし、件数の多さや人材不足、部門間の分断など、現場にはさまざまな課題があります。

monday.com は、インシデント管理の課題解決を効率よくサポートします。インシデント対応を「業務上の負担」から「改善のチャンス」へと変えるために、monday.com を活用して、スピーディーかつ安定したサービス運用を実現しましょう。

 

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著者:Rebecca Noori

レベッカ・ヌーリは、UKG、Deel、Nectar HR、LoomといったSaaSや人事テクノロジー企業のコンテンツ制作を手がける、実績豊富なコンテンツマーケターです。これまでに執筆した記事は、Business InsiderやEntrepreneur、Yahoo!ニュースなど、さまざまなメディアで取り上げられています。ITサポートの現場経験があり、Microsoftの技術資格も保有。英文学を専門に学んだ背景を活かし、専門的な技術情報も、読みやすく、親しみやすい形で伝えることを得意としています。

 

インシデント管理に関するよくある質問

国家インシデント管理システム(NIMS:National Incident Management System)とは、
アメリカ合衆国で導入されている、大規模な災害や緊急事態に対応するための統一された管理体制のことです。
連邦政府・州政府・地方自治体・民間企業・非営利団体など、さまざまな組織が連携し、協力しながら効率的にインシデント(有事)に対応できるようにするための仕組みです。

インシデント管理と問題管理は、どちらもITサービスの運用において重要なプロセスですが、目的や対応のタイミングが異なります。
インシデント管理は、「今すぐ起きている障害やトラブルに対応して、サービスをできるだけ早く通常の状態に戻すこと」が目的です。
一方で問題管理は、「インシデントの根本原因を調査・分析し、再発を防止すること」が目的です。すぐに影響が出ていなくても、システムの設計ミスや設定不備など、潜在的な問題を洗い出して対策を行います。

重大なインシデント(情報漏えいやシステム障害など)が発生した場合、経営陣も法的責任を問われることがあります。特に、事前に対策をしていなかったり、対応が不十分だったりすると、会社や関係者に大きな損害を与えることになり、責任が発生する可能性があります。

中小企業の場合も、インシデント管理ソフトウェアの導入には多くのメリットがあります。インシデントの発生は企業規模に関係なく起こるため、適切な対応体制を整えることが必要です。
専用ツールを使うことで、限られた人員やリソースでも効率的にインシデントに対応できるようになります。

インシデント管理のガイドラインとは、システム障害やセキュリティトラブルなどのインシデントが発生したときに、組織としてどのように対応すべきかを示した基本的な指針です。現場の担当者から管理職まで、すべての関係者が迷わず行動できるよう、対応の流れやルールを整理した内容になっています。
主要なガイドラインには、ITIL、COBIT、ISO 20000などがあります。

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